イコンの読み方を学ぶ~北鹿ハリストス正教会~

こんにちは。
大館では先日みぞれが降りました。日中に暖かい陽が射していても、風に冷たさを感じることも多い日々です。

11月3日は文化の日。市内各所で地域の文化を学ぶイベントが行われていました。
さてどこに行こうかな??と悩んでいた大館市観光案内所スタッフでしたが、
感謝祈祷(モレーベン)の鐘の音をたよりに、北鹿ハリストス正教会曲田福音会堂に向かいました。


北鹿ハリストス正教会は明治25年に建てられた日本最古の木造ビザンチン様式教会で、秋田県の文化財(建造物)に指定されています。また、聖堂内にある山下りんのイコン(聖像画)19点は大館市の指定文化財です。


この日は「イコンの読み方~山下りんのイコンを読む~」をテーマに、聖堂内で文化講演会がおこなわれました。会場は「聖所」と呼ばれる祈りの場。八角ドームの天井には、日露戦争時に捕虜収容所内で使われていたシャンデリアが掛けられています。正面には至聖所と聖所の区切り、聖壁(イコノスタス)があり、山下りんのイコンを眺めることが出来ます。
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講師を務めた盛岡協会の司祭である水口優明さんのお話しを、教会に普段から通う信徒や一般市民が30名ほど拝聴しました。
この日、水口司祭さまはイコンは「書かれる(write)」ものであり、正教会の信仰や教義、真理が表されている、と強調しました。対照的に絵画は「描かれる(paint)」ものであり、「鑑賞」の対象となり得るものです。イコンを制作した先人で名を知られている山下りんやアンドレイ・ルブリョフなどは、「画家/芸術家」として名を残したというよりは「敬虔な信徒」の一人として見られる、というお話も聞きました。
ふむふむ。イコンを「書く」という言葉の意味が分かってきました。
さて、ここからが本題。書かれたイコンを「読む」ために必要な基礎知識を学んでいきます。
水口司祭さまは図版が充実したレジュメや、本物のイコンを前に、イコンに使われた色や文字、聖人の動作、構図、背景など、イコンにちりばめられた意味の説明をしてくださいました。
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時折西洋絵画の描写とも対照させることで、イコンの特質をより深く学ぶことができたように感じます。
講演が終わった後にあらためて聖堂のイコンを見まわしていると、「読む」という司祭さまの言葉が思い出されました。一枚のイコンに込められた意味を丁寧に読むことは、本をじっくりと読んでその世界に自らを投じていくことに近いのでは?自分なりに「イコンを読む」ことを理解し得る良い機会になったと感じられます。
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☆文化講演会の様子は北鹿新聞にも掲載されました☆

magataorthodoxchurch_06山下りん
日本最初の女流洋画家。1857年に現在の茨城県笠間市に生まれ、上野の工部美術学校にて正規の洋画教育を受ける。のち、単身でサンクト・ペテルグラードに留学してイコンを学びながら、足繁く通ったエルミタージュ美術館にてイタリア・ルネッサンスの宗教画を学ぶ。北鹿ハリストス正教会会堂内のイコンは山下が34~35歳の頃の作品と見られ、当時黎明期にあった日本の洋画手法を取り入れたものとして日本の美術史上で重要視されている。

 

スタッフ S


【北鹿ハリストス正教会曲田福音会堂】
〒018-5603 秋田県大館市曲田字曲田80-1
連絡先:019-663-1218(盛岡教会)0186-42-1443(教会事務所)
教会公式HP http://wp-honest.com/magata/

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