おおだて神社めぐり~沼窪神社編~

こんにちは。
「おおだて神社めぐり」シリーズ久々の更新です。今回訪れた神社は街なかから車で15分ほど、そしてほんの少しの「山歩き」が必要な場所にあります。

神社の名は「沼窪神社」。


目的地までの道のりは鳳凰山登山コースのうち、「沼の窪」コースを使います。大館のシンボル・鳳凰山と秋葉山の間の沢沿いにある赤い鳥居が出発地点です。登山道は整備されていますが、急な上り坂が続きます。息を整えながら前進…。
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歩くこと30分ほど、鞍部に着くと径50~60mの沼に出合います。
勘の良い方はもうお気づきでしょう。沼窪神社のご神体は、眼前に在るこの「沼」。
この日のお天気は秋晴れのすがすがしい日。沼は周りの樹々を明瞭に映す水鏡になっています。
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鞍部の窪地に雨水や山の浸透水が溜まり、不透水層を形成する地盤によって出来たのがこちらの「沼の窪」。
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社殿は沼の南西側にあります。向かって左側には相善社。
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木製の馬に呑み水を捧げるように、桶樽が配されています。初めてこの像を見た時は、あまりのリアルさに驚いたものですが…今回の再訪時には微笑みを向けている、親しみの感じられる表情に見えました。まるで、神社を目指して歩き続けた自分を癒すような…。

沼の窪は古来より雨乞いの場所として重んじられてきました。雨乞いのために、一日かけて大茂内の滝の沢などと二か所を回ることもあったと云われます。
「サギ、サギ」――「ドッコイサ」――「お山のハチダイ」――「コンゴードーショ」――「イチモ、ナナハイ」――「ナムキミョウ、チョライ」
行列になった人々はこのような掛け声を続け、雨乞いの場所に進んだとされます。沼の前につくと神様を怒らせるように普段はおこなわないような女相撲を取り、雨を降らせるように仕向けるなどしたそうです。そのほか、沼にオサゴ(御散供)を打ちに来る人も居り、篤く信仰されてきたことが分かります。


numanokubo_07私が初めてこの神社を知ったのは、長根山~秋葉山~鳳凰山の縦走ルートを歩いていた時のこと。この日と同じ、よく晴れた日でした。三山を巡る山歩きは正直苦しいところもありました。しかし苦しかった分だけ、静かに佇む沼の窪の美しさは私の心を強く動かしました。いわば、神社詣でをする先人の行為を追体験したような感覚です。
沼窪神社との出逢いは、それについての知識を深めるだけではなく、身体全体で神社という場所を体感する面白さを学ぶ機会だったといえます。

スタッフ S

【参考文献】
『大館市史』
『大館トレッキングガイド』
『おおだて神社めぐり』

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